東京スカイツリー(R) クリスマス特別ライティング
いうまでもなく東京スカイツリーは墨田区、そして東京を代表するランドマークである。 その夜景を彩るライティングには年間を通して実施している通常ライティングに加え、 季節やイベントごとに施される特別ライティングがあることをご存じだろうか。 今回は、その中でもクリスマスシーズンに登場する特別ライティングについて話を伺った。

これまでのクリスマスライティングには「キャンドルツリー」と「シャンパンツリー」という、 長年愛されてきた定番の演出があった。 しかし「より長く、多くの人に愛され続けるための進化」を目指し、 開業以来初めてのリニューアルが行われることになった。
このリニューアルを担当したのが、入社 2 年目でコミュニケーションデザイン部所属の泉結菜氏だ。 泉氏は、SNS やイベントなど多様な手段を通して “眺望+αの魅力” を伝える業務を担当。 その一環としてライティングデザインも手がけており、 これまでにもハロウィンライティングなどを制作してきた。

今回のクリスマスライティングにおける最大の課題は 「長年親しまれてきたデザインを、どう進化させるか」。
泉氏は美しさだけではなく、面白さや楽しさを感じていただけるポイントを作れないか、見ている方の気持ちを深く想像しながらデザインに取り組んだという。
完成した新たなクリスマスライティングは、 「オーナメントツリー」「エレガントツリー」「サンタクロース」の 3 種類だ。
「オーナメントツリー」は緑と赤の王道クリスマスカラーを基調に、“世界一高いクリスマスツリーを作りたい” という思いを形にしたもの。

「エレガントツリー」は大人も楽しめる上質な配色。特にトップに位置するゲイン塔をゴールドとレッドの縦割りで彩る手法は珍しく、ぜひ東京スカイツリーのライティングは多様な表現ができるということを知っていただきたいとのことだった。

「サンタクロース」は真っ赤な服と白いポンポン付きの帽子を表現。
帽子のポンポンをイメージしたゲイン塔トップの白い光はなんと20km 先まで届くという。 赤と白のライトが互いに干渉するため、配色の調整はとても難しかったそうだ。

そしてこれらのライティングをより特別なものにしているのが、点灯方法だ。 通常のライティングは日替わりで切り替わるものが多いが、今回は約 1 分ごとに各デザインが移り変わり、 計 3 分間ですべてを見ることができる。この仕掛けは「遠方から来た人や海外の観光客でも、
1 日のうちに全種類を楽しめるように」と考案されたもの。 さらに移り変わりのたびに一度塔体の光が消え、地上から天望デッキまで光がくるくるとのぼっていく演出を取り入れることで、「見ている方の期待感を高め、東京スカイツリー全体が色づいた時の驚きや楽しさといった“心が動く種”を作りたい」という想いが込められている。
自身が考える「東京スカイツリーのライティングとは何か」という問いに対し、
泉氏は「目にした方の心を優しく彩る光」と答えてくれた。
派手さや目立つことだけでは街に馴染まず、
日々目にする地元の人にとっては騒がしく感じられてしまう。
世界一の高さを誇るタワーだからこそ、下町という街並みとの調和を大切にし、共存し続ける。
その姿勢こそが長く愛される理由なのだと感じた。
私自身、地方から東京に帰ってきた時、車から見える夜空に輝く東京スカイツリーをみると
不思議な安心感を覚える。
これは私の日常の風景に東京スカイツリーが馴染んでいるからだったのだと
お話を伺ったことによって気付くことができた。
最後に泉氏のお気に入りの東京スカイツリービュースポットを尋ねると、 “階段グラフィカルライティングと東京スカイツリーのライティングが一緒に見られる「ソラミ坂」”を教えてくれた。 ソラミ坂の階段にもクリスマス仕様の特別デザインが施されており、 初めてソラミ坂からその光景を見たとき、その調和の美しさに驚いたと笑顔で話してくれた。 この冬の夜、東京スカイツリーと街の光が響き合う特別なクリスマスを、ぜひ自分の目で確かめてほしい。
