グラブ作り体験
第一ホテル両国では毎年夏になると野球専門店である株式会社ベースマンとスポーツメーカーの
「ローリングスジャパン」の協力のもと、本格的な軟式野球グラブ作り体験を開催している。
今回は株式会社ベースマンの岡田馨氏にイベントの成り立ちを伺った。

このグラブ作りのイベントは第一ホテル両国の代表取締役社長である吉田幸夫氏が、 プリンスホテル在籍時代からスタートしたものであり、2025 年現在で
15 年目になる。第一ホテル両国でも 2018 年から始まり現在で七年目を迎える。 きっかけは吉田氏の野球に対する思いからスタートした。

吉田氏はプリンスホテルに入社し社会人野球で活躍し、1984 年のロサンゼルスオリンピックでは エース投手として登板し金メダル獲得に貢献した人物でもある。

イベントが始まった 2010 年ごろから野球の競技人口の減少が問題となっており、 スポーツ分野専門のシンクタンクである笹川スポーツ財団の調査によると、
2010 年から 2022 年までで、約 60 万人もの野球競技人口が減ったという調査記録もある。 吉田氏はこのような状況で、低年齢層の野球人口を増やしたいとの思いから大学時代の後輩であり ベースマンの社長でもある関口氏とともに何かできることはないかと考えた。 そこで立ち上がったのがグラブ作り体験であった。
岡田氏も学生時代から野球に打ち込み、
その経験と情熱を活かせる場としてベースマンに身を置くことを選んだ。
当時の上司からこのイベントを引き継いだ時は、自身が見ていた憧れの選手としての吉田氏と
チームとして関われることがとても嬉しかったという。

岡田氏にイベントの様子を伺うと、
参加される子供たちは一生懸命話を聞いて間違いなく作るが、子供達よりも父親の方がミスが多く、
講師から指導される姿が印象的だったとのこと。
普段の父子の関係とは違ったコミュニケーションが取れるのも面白いところだ。
さらに親御さんにとって嬉しいのは、
子供の方が毎年夏休みに開催されるため、子供達はこの体験を自由研究としても活用できることだ。
実際に野球を行うイベントではなく、グラブ作り体験とすることで、
ものづくりの楽しさや、物を大切にすることを学ぶこともできるという点も魅力の一つである。

イベントに関してのエピソードとして、
グラブ作り体験は海外からの問い合わせがあったという。
海外の少年野球チームが交流試合に来日するので、ぜひイベントを開催してほしいという問い合わせだ。
スケジュールの都合で開催には至らなかったが海外への訴求も見込めるのではないかと思ったという。
メイドインジャパンのグラブは海外でも人気で、ベースマンにもインバウンドで多くの外国人が来店
しているとのことなので、グラブ作りを通して日本の子供達と海外の子供達が交流できれば、
より一層の普及効果があるのではと新たな展開に期待が高まる。
グラブ作りの参加者は通常は有料サービスであるグラブのスチーム加工も無料で受けることができる。
イベントに参加したその足で親子が来店しグローブを柔らかくしてキャッチボールに向かう姿は、
岡田氏にイベントの意義が確かに参加者へ届いていることを示す証しであった。
